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よこと病気と○○と

1人の人間として、ありのままをツラツラと。お布団と社会の間から

私と病気と知らない人



甘える、ということを

知らない人が、います。




初めて会ったその人は
気持ち悪いくらいに元気で
笑顔が眩しい人でした。


だけど、いつも、
心の真ん中、ちょうど奥のところには
冷たくて硬い。
何かがあるのを、感じていました。



その人は
人のために生きることには
尋常ではない執着があって

自分のために生きるということは
生まれたときから知らないような人でした。



よこはその人にいつものように言いました。

「普通に戻りたい」と


彼は、言いました。
「解らない、僕にはそれが、解らない」



人間は一度甘い蜜の味を知ってしまえば
もう一度、それを味わいたいと
強欲になります。

それに固執し執着し、
届かないとわかっていても、
手を、伸ばし続けます。

 
だけど、  
彼は欲もなにもなく、 

ただ、生きているだけでした。


生まれた時から
普通に生きれるという、その蜜の味を、彼は、知らなかったからです。



彼は、幼い頃に
 
障害があると、診断されていました。





私達は、必要に応じて自分を甘やかします。
それは健やかに生きていく上で、とても、大切なことです。

今のよこにも、自分を甘やかす、無理をしない、ということはなによりも大切なことです。


だけど彼は、
どんなに辛くても
どんなに苦しくても
どんなに、死にたくても


決して自分を、甘やかさない人でした。


少しでも自分を甘やかし、
今のままの自分を受け入れてしまったなら、自分を自分に、保てないから、です。自分を、甘やかせないのです。
 


私には到底想像もつかないような
血のにじむ努力をきっと
物心つく頃からずっと、彼は、続けてきたのでしょう。


どんな屈辱を味わおうと

どんな惨めな自分に腹を立てようと

どんなひどい仕打ちを人にされようと



彼は

ずっと

努力を、し続けてきたのです。



だから彼は、自分を甘やかすということを、知らないのです。
 

甘やかしてなんかいたら、
生きて、いけないから。



精一杯なんです。


ありえないくらいの努力をしても
輪にしがみつくのに精一杯で。

そこに自分を甘やかすなんて選択肢は
彼には、なかったのです。




普通を知らない、彼。


見よう見まねで他の人の真似をして
その裏でたゆまぬ努力と
数えきれない悲しみを持ちあわせる。


彼もまた、仮面をかぶって生きる
同じ道化師の、仲間でした。




彼は、言います 

「僕には、なにもない。取り柄を探そうにも、探そうとすると、悲しくなる。」




よこは、思います。


あなたは、いつも私を救ってくれる。
どんな私を見たって、絶対に離れない。絶対に、同情しない。

人の傷の痛みを、誰よりもわかれて
誰よりも、受け止められる。

それは決して、簡単なことじゃない。
どんなにどんなに、例えそこに愛があったって、受け止めきれない人は、受け止められない。

そうやってみんな、去って行って、
私たちはめちゃくちゃに傷つく。

でもなのにあなたは、そんな大層なことをけろっとやってのける。

それがどれだけすごいことか
どれだけ誇れることか。




でもきっと、
そんなことを伝えても、

彼の心の奥にある
硬く冷たいそれは、溶けきらない。
そこによこの声は、届かない。

それもなんとなく、わかります。




よこは、彼が、大好きです。

一緒にいて、笑顔になれます。



よこの小さな世界では
面白い話なんてこれっぽっちもないけれど、
小さなことに楽しさも幸せも見つけられる彼は、よこの些細な話でさえ、
楽しそうに、聞いてくれるんです。



loveでもlikeでもない、その好きは

彼という人間そのものへの、気持ちです

  

彼の悲しみも、憎しみも、
よこには到底わかりません。


共感できるふしはあっても
何十年かけて構築されてきた、
彼の硬く冷たいそれには
到底、及ばないのです。


それでもよこは
彼に出会えてよかったと心から思うし

彼が生きててくれてよかったと、
心から思えます。




毎日よこは、その人からたくさんのことを学び、感じます。

それはきっと彼以外の誰にも教えられない、特別なものであると、思います。





彼は、言います。
「解ってほしいだなんて思わない」


人にわかってもらうということが
どれだけ難しいことか。
生きてきた中で身をもって、知っているから。
はなからそんな多くを人に求めないし、期待、しないのです。



だけど、心の中では

彼も、私も、思っています。



どうか、知って欲しいと。




なにが、辛いのか。

なにが、苦しいのか。

なにができて、なにができないのか。

どんな気持ちで毎日を過ごして
どんな気持ちで明日を見るのか。



健やかに生きれるということが
どれほど、

どれほど、尊いのか。



あなたの見ている
いつもの世界が、けして当たり前でないということを。

そこらに転がっている自由が
どれほど価値あるものなのかということを。





どんな痛みも深い傷も
悲しい記憶も苦しみの記憶も

時が経てば、癒え、そして忘れてしまいます。


だから私は、
それらを当たり前に感じられる今のうちに、
言葉に書き残し、時が経ち傷が癒えても、
決して忘れてしまうことの無いよう、

今日もここに、言葉を綴ります。




彼の幸せを祈って。
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