よこと病気と○○と

1人の人間として、ありのままをツラツラと。お布団と社会の間から

私と病気と誰もいない道




誰もいない道が、嫌いだった。




昼下がりの午後

外に出なくちゃと、ありもしない義務に縛られて、重い足を引っ張るように家を出た



外には誰も、いなかった。



みんなは、「社会」にいた。


学校、会社、電車に車


私1人が、この世界にいるようだった。



「なにしてるんだろう」



何度もそう、心で呟いた。



毎日を生きるのに、必死だったように思う。

それは生とか死とかの問題ではなく

人としての心を保つこと。



色んなことに、手を出した。


物作りや写真、なにかしらの勉強やらなんやら


毎日を取り繕うのに、必死だった


その1日が24時間であるために
それを保つために、必死だった。


上っ面だった。
物事を深く考えないようにしていた。

ペラペラで中身のない毎日だった。

気を抜けば自分が生きているのか死んでいるのか、わからなくなった。

そうして夜になれば必ず
不甲斐なさに埋もれては涙を流した。




自分が、許せなかった。




私1人だけの世界が、許せなかった。







今日は雨が降っていた。


昼下がりの午後

夕飯の買い出しのため、美味しいご飯のため、
意気揚々と家を出た。



外には誰も、いなかった。



みんなは、「社会」にいた。


学校、会社、電車に車


私1人が、この世界にいるようだった。



でも、違った。



外の世界には、色があった。



新緑がみずみずしくしげり

春の嵐が吹き抜け

雨粒が頬をかすめる




世界は、美しかった。




ヒールをはいた女性が
足早に私の横を駆け抜ける

水たまりがパシャリと跳ね上がって
雨粒が弾けた。


社会はそこかしこに転がっていた。





1人じゃなかった。




この世界の全ては、色んな人たちが教えてくれたもので溢れていたから。



その緑も、その青も

その冷たさも、その暖かさも

その匂いも、その喜びも

その時間の流れも


私の歩くこの道にあふれる
色も匂いも感触も


教えてくれた人たちがいた。

だから私はこの世界で生きていけた。




たまに見かける

手をつなぎあう親子

しなやかに歩くご老人


日々の一瞬、一面、それらがとうしよもなく


愛おしく思えた。






誰もいない道は嫌いだ。



だってこの世界を、
共有したい人がたくさんいるんだから。





幸せな、世界。




もちろんたまに、良くないものも流れ込む

どろっと黒く濁ったそれは
私の心の周りにこびりつくのが上手い。





クズ野郎

最低

甘ったれ





何度、言われたことだろう。






何度





何度。







それでも、



生きなければいけない。



ねぇだって


負けるわけには、いかないでしょう?


納得なんて、できるはずないでしょう?




だって私の世界はこんなにも


美しい。


あなたたちが教えてくれた


私の宝物。





ねぇきっと、あなたの世界もそうだよ


あなたの思ってる何倍も


あなたの世界は、美しい。



だから負けないで




人にも、自分にも



負けないで



だって

あなたの世界は、こんなにも美しい。



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photo by noa