よこと病気と○○と

1人の人間として、ありのままをツラツラと。お布団と社会の間から

私と病気と眠剤

 

眠剤が嫌いだった

 

 

夜は眠りたくなかった

眠るのが怖かった

 

朝になって部屋が薄明るくなり始めた頃に

安心してようやく眠る

そうしてすっかり日が登りきった頃に目を覚まし、足りない1日を嘆くように夜を迎えた

 

眠剤は、よく効いた

効きすぎるくらいだった

 

副作用が辛いから、弱めな薬に変えてもらった

それでもまだ眠剤は苦手だった

 

眠剤を飲んだ状態で綴ったブログを

朝に読み返しても

全く、書いた記憶がないのだ

そこにある言葉はどれも見慣れない使い慣れない言葉ばかりで

 

自分がひどく、恐ろしかった

 

ゆるり、視界が緩んだかと思えば

どろり、思考が働かなくなり

水面に頭を押さえつけられるかのように

眠りにつかされる

 

眠剤を飲むことがとても怖かった

 

とても冷たい目で

「少し黙りな」と言われてるようだった

 

 

眠れないと弱音を吐けば

薬飲んだの?と返ってくる

怖くて飲めないと何度めかの同じ答えをすると

幾度となく聞いたおきまりのため息が

二人の間に滞る

 

「飲まなきゃ、良くならないよ」

 

そういう彼の言葉から

私は『早く寝てくれよ』というような、

親のあの目を思い出した

 

 

綺麗事なら、言わない方がましだ。

 

いつからかハッピーエンドが嫌いになった

どんな苦悩を乗り越え最後に幸せであったとしても

ハッピーエンドで終わらせることは

あの時の私に対する侮辱に思えた

 

 

もう今は眠剤は飲んでいないし

彼もここにはいない

 

それでも今日みたいに何気なく寝れない夜には

常備薬の安定剤を飲み睡眠を促すのが日課で

それを飲み忘れた今日みたいな夜には

薬に生かされていることが

身にしみる

 

あの時の親の目を思い出し

全てを終わらせるように眠剤を飲んだ

あの夜のことを思い出す

 

感謝してやまないこの薬に

時々恐ろしいほどの憎悪を覚える

 

こいつがなければ私は

眠るという行為さえままならない

人間であることさえ、ままならない

 

時々

本当に時々

そんなふうに思う

 

バカみたいな考えが頭を占めて

体を真っ黒にどろり蝕むように

 

普段あれだけうるさいのに

夜は嫌になる程静かで

 

普段あれだけ眩しいのに

夜は怖くなる程何も見えなくて

 

自分の声ばかりが煩く響いて

先ばかりが見えなくなる

 

夜に眠りたい

早く、夜に眠りたい

 

そうして明るい朝を迎えたいだけなのに

 

なのにどうして

気付くとこんなにも

ここは深い