よこと病気と○○と

1人の人間として、ありのままをツラツラと。お布団と社会の間から

私と病気と手放すこと

 

この日を

この夏を

一生忘れないなんていうけれど

本当に一生忘れないのは幸福の記憶でなく

悲しみの記憶だ。

 

 

順調に見えていた日々が一瞬で闇に飲み込まれてしまうのは、そんな記憶が根強く残っているから

 

いま私が大切にしている人が、

あの時の彼となんとなく重なれば

悲しい記憶は一瞬にしておせてくる。

 

なんとなく連絡が減った

少しずつ、距離をとられた

それでも彼が私を決定的に手放さなかったのは

私が放った言葉のせい。

「あなたと別れたら私、絶対また悪化するだろうな」冗談交じりに笑って言った

絶対言ってはいけないことを言った

 

それでもそれは心の底からの本心で

たぶん逃れようのない真実だった

だから私は思わずこぼしてしまった

 

その言葉に縛られた彼は突き放すこともできず

私の呪縛に苦しめられた

 

最後まで愛していた

それでも、終わりにするのは私だった。

 

言葉通り、私の病気は悪化した

たんにそれは心への負担、環境の変化

でもそれは、どうしよもないくらいに悲しかった。

一緒に戦うと言ってくれたことを

心から信じていた。

 

幸せな記憶もちゃんとある

彼は私をちゃんと愛してくれていた。

 

それでも不幸はそれに勝てはしないのだ。

 

 

友から不意にはいったメッセージには

「卒業旅行どこいく?」という文字

 

ああ、もうそんな時期なのか

一緒に行きたいな

素直にそう思えたのは幸せな記憶のたまもの

 

でもすぐに

「どうしてこうなってしまったんだろう」と

思ってしまったのは悲しい記憶のたまものだ。

 

ひとりぼっちの卒業式

卒業証書も胸の花も、綺麗な朱色の袴も

友の声も、別れの涙もありはしない

 

私以外の誰かが望んだ卒業式。

中退という剥がしようもないレッテルだけが

大きく背中に貼られた日。

 

長い年月が

たくさんの思いが

薄い紙切れ一枚で、終わってしまった日

 

最後まで悔しかった

それでも、終わりにするのは私からだった。

 

奪われる方がまだマシだった

最後を決めるのはこの上なく辛かった

 

いくら上書きせども

きっと悲しい記憶は、いつまでも幸せな記憶に勝てないのだ。

 

この日を一生忘れないだとか

この夏を一生忘れないだとか

きみはきらきらした写真に残すけれど

きっといつか忘れるさ。

ぼんやりした曖昧な輪郭になって、自由勝手に美化しちゃって。

幸福な記憶は、悲しみの記憶にかてない。

 

それでも私は知っているのだ

手放さなければ次を得ることはできないということ。

さぁだからほら、泣きながら歯を食いしばりながら、手放す決断を、自分の手で。

 

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photo by yuri