よこと病気と○○と

1人の人間として、ありのままをツラツラと。お布団と社会の間から

私と病気と手放し癖

 

病状が重くなると、嫌な未来ばかりを考えてしまう。

 

ついこの間まで、このくらいなら休んどきゃ治ると、けたけた笑っていたのに。

症状が重くなり、日々の生活さえままならず、家事さえできなくなってしまう日ができた。

そんな日が1週間も続けば、人を絶望のどん底に落とすのは容易い。

 

いつまでこの人は、私の隣にいてくれるだろうかと、寝息の聞こえる体にそっと肌を寄せる。

 

むかし、パニック症状が重かったころに、たくさんの好きな人に振られてしまった。

誤解が解けぬまま「最低だな」と言った人、

支えると言ったのに最後は「疲れた」と言った人。

あれから何年も経つのに、私はまだ、彼らの言葉に囚われ続けている。

そんなころから、気づけば「手放し癖」ができてしまっていた。

それが大事なものであればあるほど、私は手放したくなってしまう。せめて私が愛した人くらいは幸せになって欲しいと、傲慢な願いを込めてしまう。

 

眠れぬ夜に悲しくなって涙を流しては、そっと肌を寄せこの時がずっと続いてほしいと願うことを繰り返す。

いつかあなたから「離れたい」と言われた時のことを想像し、シミュレーションを入念に行う。いつかそれが現実になっても、痛みが少なく済むように。

 

涙で喉が渇き、キッチンに向かう。

真っ暗なキッチンの電気を灯し流しに経つと、眠っていた飼い猫が目を覚まし、足元に転がった。

優しく、頭を撫でる。

「君とも、どれくらい一緒にいれるかな」

飼い猫は、旦那が独身時代から飼っていた猫だ。もしその時が来たら、この猫ともお別れだ。

悲しみで蹲る私に、飼い猫は指先にキスをし、顎下を撫でるようせがんだ。いつもと変わらぬ傲慢な態度に思わず頬が緩む。

「ずっと一緒にいられるように、頑張るからね」と小さな約束をした。

 

頑張れるうちは、ちゃんとこの手で、大切なものの側から離れずに、大切に大切に愛したい。

 

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