もしも私が死んだら
もしも、私が今死んだら
この部屋に今朝までいた私が
忽然といなくなる
布団は起きたままで、
シーツにはしわがそのまま残ってて
布団はベットから少し垂れたまま
テーブルの上には飲みかけのマグカップ
いつも使っていたカップ
たくさんの化粧品
赤、オレンジ、ピンク
朝部屋を覗くと、鏡とにらめっこしながら
化粧をしていた私もいない
振り向いておはようという私もいない
棚いっぱいに詰められた、
中学から大学までの教科書たち
長い長い私の記憶
洋服ダンスにかけられた
もう今年は切ることのなかった夏服たち
家の洗剤と、それからきっと少しの私の香り
付箋が貼られた料理本
2017.×.×と日付の書かれた今晩のおかずメモ
もう二度温まらない鏡にかけられたヘアアイロン
昨日まで背負ってたリュック
私の丈に合わされた肩紐
棚に詰められたカメラ
私の指紋がかすかにつく液晶
何度も触れたシャッターボタン
今朝脱ぎ捨てたパジャマ
少しだけ開けたカーテン
一錠だけ減っている薬
私がここからいなくなる
遺品整理が大変だなと
くすり笑う
私がここからいなくなる
それはもしかしたら
私が1番悲しいかもしれない
2017.05.01の下書き